ブラッディ トゥ ナイト

だから私はこう言いました。

「うちで働く気はありますか」

少しでも彼女の力になりたかったのです。

顔を隠したいと言う彼女の要望に答え、仮面を付ける事を許可しました。

その代わり、ステージに立って歌う事を条件にしました。

仮面を付けた歌姫だなんてミステリアスで客ウケすると思ったからです。

彼女がステージで歌い始めてからお客様の数は何倍にも膨れ上がりました。

最初は私の予想が当たったのだと思い、浮かれていた私は、彼女の異変に気付くのが遅れてしまいました。

いつからか男性客を自室に招き始め、私はそれを知っていました。

顔を隠し暗かった彼女が、良い行動とは言えませんが、女としての自信を取り戻してきているのだと思っていました。

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