ブラッディ トゥ ナイト

「きっと、この人を止められる術は、これしか無いと思うから……」

萌は涙を流しながら、僕に語りかける。

「私ね、梓のこと……ずっと待ってたの……だから、ここに来てくれて……すごく嬉しかった……愛してるよ……だから、梓の事は死なせない!この人は私が止めるッ」

萌の指先に力が入る。

「他に……他に方法があるはずだッ」

萌は涙を流しながら微笑み、首を小さく横に振った。

「梓……私たち、夫婦だからずっと一緒だよね?」

そう言った萌の左手薬指を見ると、指輪は無かった。

おそらく、僕がプロポーズの時にあげた指輪は、萌を襲った男が取り上げてしまったのだろう。

「僕たちは4年前から夫婦だよ……愛してるよ、萌」

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