ブラッディ トゥ ナイト
僕は墓石に話しかけながら、胸ポケットから折りたたんだ紙を取り出した。
それは今朝、役所で貰った婚姻届。
本当は2人で役所に取りに行って、2人で出しに行こうと思っていた物。
「僕の名前も萌の名前も書いて、印鑑も押してある。けど、萌の印鑑は萌に押してほしいんだ」
霊感を持つようになっても、ここに萌の気配は感じられなかった。
ただ、墓の周りが温かい気がする。
中で眠っているのだろうか。
「萌、待っててね」
僕は地面に腰を下ろし、萌の墓石に寄り掛かる。
萌の体温を感じられている気がする。