ブラッディ トゥ ナイト

血が飛び散り、所々赤く染まった紙を梓さんの手から取り、広げてみる。

「梓さん……」

握られていたのは婚姻届だった。

梓さんと萌さんの名前が書かれ、梓さんの印鑑まで押してある。

当たり前だが、そこに萌さんの印鑑は無い。

おそらく結婚届を握り締めたまま自殺したのは、萌さんに印鑑を押してもらう為だろう。

「ようやく……出せますね……」

梓さんは萌さんと一緒に居る。

今はまだ眠っていて、ここには見えないが自殺したことにより鎖で繋がれ、梓さんはこの場から動けなくなる。

それでも愛する萌さんと一緒に居られるのなら良いのかもしれない。

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