蕾は未だに咲かないⅠ
第1幕 散り花篇
北街
煌びやかなネオン。
喧騒も他人事のように遠い。
蕾は木の枝から芽を咲かせ、わずかな色味を増せて、新たな季節へと首を伸ばしていく。
――どうせ、散るのならば。
目一杯に生にしがみつけ、
蕾を咲かせ早くに散るな、
――さあ。
物語は此処から、既に始まっている。
それは、闇と愛の執念に呑み込まれた、哀れで廻る街の物語――。
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北街