蕾は未だに咲かないⅠ
「…………触るぞ。」
何か言われた気がする。そう感じた数秒後、戸惑うような仕草で冷たい体温が額に引っ付いてきた。
その冷たさに触れた瞬間、息を吸い込む。
日向君はそれに反射的に手を引いたみたいだ。もしかして、拒絶されるのを恐れていたのだろうか。
「熱い…。」
「…日向、君」
「な、何だ?」
何が何だか、頭がぼうっとして分からない。
ただあたしは、手が動くままに日向君の離れた手を掴んだ。