蕾は未だに咲かないⅠ



「鶴来さん」


ギイィ、と音をたてて滑らかな体躯が部屋へ入ってくる。


白い肌に黒い衣服、綺麗な顔。何度見ても目を奪われるその姿は、息を呑むほど浮き世な感じがした。


「――…熱か」

「は、はい。」


意識を失ったか眠ったのか、目を瞑って倒れ伏せたコイツ。

凜として女にしては最上に綺麗な顔が、俺の目の前で眠っていた。肌がより白くなって、ただ頬だけが赤い気がする。


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