蕾は未だに咲かないⅠ


――1時間程前、俺はらしくないにも慌てて、鶴来さんに連絡するためメールした。

送った後に“来る訳がない”という事に気付いたんだが、


「体温は?」

「38.8度です。」

「…薬でも持って来させるか。」


…まじで、鶴来さんが来てる。


俺は呆然として、しかしゆっくりと目線を落とした。そこには、鶴来さんが拾ってきた女。

まさか。いや、でも。


「日向。」

「はっ、はい。」

「こいつの名前は?」


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