蕾は未だに咲かないⅠ



熱い。

その感覚で、あたしは眠りから浮き上がり目を覚ました。


身体にじっとりと汗が滲み、胸焼けと言うか何と言うか、頭がモヤモヤしていて気持ち悪い感じがする。

そして違和感に手を額に当てると、冷えピタが貼ってあった。意外に思い、暫く呆然とする。


――…どうして、放って置かないの?


と、扉が音を立てて開いた。あたしはビクッと肩を震わせ、そちらを見上げる。


「……あ?」


口癖なのねそれ。


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