蕾は未だに咲かないⅠ
すると予想外にも、彼は目を細め――優しげに、あたしを見つめた。
あたしは驚き目を見開き、あっさりとポーカーフェイスなんて崩してしまう。彼はそれを見抜き、また勝利したように口角の端を上げた。
何で。
何でこの人は、あたしを翻弄するの。
ずい、と彼が近付く。近くなった綺麗な顔に、あたしは内心慌て後退する。
「――お前、笑ってみろよ。」
「…っ!?」
「人形じゃねぇンだろ?」
「、…笑いません。面白くもないのに。」