蕾は未だに咲かないⅠ
と、不意にカチャリとこの部屋の扉が開いた。
思わず肩を震わせて目を向けると、そこには――綺麗な目をした端正な顔立ちの男の人。無表情だから、なおさら人形に類似する。
かっこ、いい…。
思わず見惚れてしまう。
けど、この男の人は――酷く、冷たかった。刺すような空気が、まとわりついてる。
「てめぇが、飛び出して来たんだぞ。」
「おいっ、ユウ…」
「黙れ。」
いつの間にか扉から顔を出したさっきの彼が、困ったように垂れ目を細めている。