蕾は未だに咲かないⅠ


ユウと呼ばれた男の人は、無表情と冷たさを一切変えない。

でも…確か、車の中で抱き留めていたとはこの人だったと思う。この低くて、まるで相手にしていないと思わせる声。

間違いない。成る程、この人に迷惑をかけたのか。

納得したら、楽になってきた。多分、疑問が解決出来たからだ。


「そう、でしたか。申し訳ありません。」

「申し訳ねぇと思うんなら、口外無用だ。いいな。」

「はい。」


むしろそうする。

あたしには、そんな口外する人も居ないし。


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