蕾は未だに咲かないⅠ
…そうだ。公園で、男たちに絡まれて、横にいた女共もクスクス笑ってて。
必死に逃げ出して、公園を飛び出して、訳も分からず光り輝く夜の街へ――。
「たまたま?」
「ええ。どうやら間違えて飛び出してしまったみたいで。本当、吃驚しました。」
「そ、そうなんだ…。」
ぎこちなく、珈琲に口を付ける輔さん。まばたきの回数が多い。…思惑が外れて残念でしたね。
生憎あたしは、死を願う人間ではないもので。