蕾は未だに咲かないⅠ
輔さんはすぐにいつもの垂れ目の微笑に戻った。あたしはなにも思わずに、ぬるいココアを全て胃に流す。
ご飯…貰えるのかな。と言うか、3日間一体どういう食生活だったんだ?
もしかして、記憶はなくても微かに食べていたのかもしれない。“朦朧としながら意識はあった”みたいに聞いたし。
どっちにしろ、その面もお世話になったよう。
…が。
胃が、空腹のためか痛い。
「あ、ごめんね。今食べ物何か持ってくるから。」
「…………」
吉でも凶でも気配りが素晴らしい輔さんに何と返事したら良いのか分からず、あたしはただ黙って彼の後ろ姿を見送った。