蕾は未だに咲かないⅠ
しばらく経った後、再び襖の戸が開いた。
開けた輔さんの手には、緑と黄色とオレンジが散らばったお粥。それが、あたしの目の前のテーブルの上に置かれる。
あったかい。湯気がたってる…。
何だかそれだけで胃が安心して、しっかりとした空腹感を感じてきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。いただき、ます。」
いただきます、だなんて。一体いつぶりだろう。ろくな食生活を送ってなかったし、ましてや部屋で食べるなんて事もなかった気がする。
思わず口元が緩み、それを隠すようにあたしはスプーンで粥を掬って口に運んだ。