蕾は未だに咲かないⅠ



「下げるぞ。」


お粥を食べ終え一息ついた直後、お膳を下げに来たのは知らない男子だった。

比較的、同い年のような気がするのは…強ち間違いではなさそうだ。むしろ年上と言われたら驚く。


にしても、金髪がすごい目立つ。少し釣り目な、威嚇丸出しの人。

一体、無防備で怪我人で軟禁中のあたしのどこを警戒すると言うのだろうか。“此処”の人たちは少し矛盾してる。


「ありがとうございます。」

「…………」


無口になった。


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