蕾は未だに咲かないⅠ


暇があれば中庭を眺める。

時々輔さんが様子を見に来たりして、表面的な会話をする。

日向君が威嚇丸出しで睨みながら御膳を出し、引いていく。


そんな生活が数日ほど続いた。中庭の隅に立つ木は、梅の花を少しだけ咲かせるようになった。

蕾から、花咲かせるそれ。

何だか健気で、無意味にも唇を噛んでしまった。


そして少しだけ、変化が訪れた。

それは、いつもの食事が栄養をきちんと考えられていて、毎回美味しいのに気付いてからだった。


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