蕾は未だに咲かないⅠ
「日向、さん」
「あ゛?」
君付けはさすがにマズいかな…、と思ってさん付けにする。
いつものように御膳を取り下げようとした彼を、あたしはそう呼び止めた。
完璧なる予想通りの、不機嫌不満いっぱいの悪態的反応が真っ向に返ってきた。相変わらず迫力に欠けるけど。
「この、ご飯を作っている方にお伝え下さい。」
「………は」
「とても美味しいです、いつもありがとうございます、と。メニューもよく考えられていて、本当に美味しいんです。」
「……………」