蕾は未だに咲かないⅠ


「っ……」


背中を押された。めちゃくちゃ痛い。

顔を上げて相手の顔を見ようにも、痛みからか目が霞んで分からない。ただ、夜の光だけが見えている。


「運ぶ。」

「は、はいっ」


仰向けになってる所為かな…息が苦しい。何か、圧迫感がすごい。肺が圧迫されて気管支が巻き巻きになってる感じがする。あり得ないけど…と、


「動かすぞ。」


そう声が降ってきて、一気に視界が反転した。


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