蕾は未だに咲かないⅠ
「だったら、何であたしを捕まえようとしたんですか?あたしが誰かに貴方の事を言うのが怖かったから、」
がん、と鉄を舐めたような味がした。
物が少ない部屋だったおかげで、床に転がっただけだったけど。頬が熱を帯びて泣きたいほど痛かった。
いざ殴られたとなると、妙に冷静になる自分がいる。
だって貴方は―――
「墓穴を掘りましたね。傷害罪として、貴方はもっと怖がる事になる。」
「………うぜぇ女。」
「これが取り柄なので。」