蕾は未だに咲かないⅠ
お互い、無表情。冷たい空気と、あたしの生へ執着する空気が混ざり合う。
所謂、意地の張り合いだ。
でも結局は手を出した貴方が負けだけど。震える拳からして、衝動的だったんだろう。
「…絶対ぇ、帰さねえ。精々泣いて乞え。」
「自分で帰りますのでお構いなく。絶対、こんな所出て行きますから。」
お互いに―――天敵、だ。
睨み見下ろしてくる彼から、殺意がにじみ出てる。さすがに殺人まではしないようだけど。