蕾は未だに咲かないⅠ





「………れ」


目を開けた第一声。あれ。

まさに、あれ?だった。

目の前には、暗くてくすんだ天井。周りには殺風景な襖と畳。あたしは布団に寝かされ、横には薬と水が置いてある。


「…………?」


――此処、何処だ?

あたしは記憶を手繰り寄せ、どうしてこんな状況なのかをひたすら考える。

何か……なんか、アスファルトにぶっ倒れた記憶があった。

そして腰が痛い。背中も痛い。打った痛みが占領してる。

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