蕾は未だに咲かないⅠ
両腕が、掴まれて。組み敷かれた状態だ。腕越しに伝わる彼の体温は冷えていて、手は異常な強さで掴まれている。
やばい。今更そう思う。
「ちょっと―――ン、ッ」
話し合いの余地も虚しく、唇が塞がれた。
痺れるような、鳥肌が立つような感覚が走り、指先が思わず震える。
組み敷かれた足さえも、彼に当たっていることでピクリと反応する。
―――この人は、輔さんと比べようにもならない。
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