蕾は未だに咲かないⅠ


何て言うんだろう。綺麗だからか何でなのか、――“下心”が一切見えない。甘いキスに、抗う事が出来ない。


そして何より、触れた唇から鉄の味がするのがあたしを躊躇させる。


口を怪我してるんだ。よく見れば、服にも土埃や切られたような跡、白い肌には血が滲んでいた。

駄目だ、と分かっている。

抗わなければ、今すぐ身体を弾き飛ばさなければ、今すぐ――あたしのプライドを、保たなければ。


このままじゃ、あたしが“終わる”。


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