蕾は未だに咲かないⅠ
謎が多過ぎて首をしきりに傾げながら、布団から抜け出し襖に近付く。
開けてみると、中庭のような場所の光景が広がった。
池があって、そこで色とりどりの鯉が泳いでいる。その上に松の木が佇んでいて、地面は芝生と石で覆われていた。
和、だ。純和風。
――いよいよ分からない。
あたしはとりあえずもう片方の襖を開けようと、それに歩み寄った。
そして開けようとして、止まる。
「あ」
「………。」