蕾は未だに咲かないⅠ

動揺



そう、そうだ。


あたしは顔を上げる。一瞬、彼がたじろいだ。確か前にも日向君が見せた気がする。

そんなにあたしは、人を惑わす目をしているのだろうか。ならばそれを利用するまでだけど。


あたしは肩の力を抜き、下から見上げるように挑発的に目を向けた。


「あたしは、貴方のように弱い人間じゃない。」

「あ?」

「“武器”に頼り、1人ぼっちに恐怖する貴方とは違う。」

「――…」


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