蕾は未だに咲かないⅠ


そして、ナイフを首筋にスライドさせて突っ切った。

手応えがあってから、鮮血がたらたらと流れる。あたしは目を見開いた。


「…まじで、目障りな女」

「ちょっと、」


切ったのは、皮膚に食い込んだのは、あたしの首筋じゃなかった。


彼、何故か薄ら笑いを浮かべた鶴来さんの手の平に、銀色の刃は食い込んでいた。


―――何で?

疑問と驚愕で、思わずナイフを放していた。


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