蕾は未だに咲かないⅠ


からんからん、と音をたてて銀が落ちていく。ぽたりぽたり、と赤が落ちていく。

呆然としていると、ナイフを落とした彼が痛みに顔をしかめた。あたしは迷った挙げ句、上の服を脱ぐ。


「おい…何やってる。」

「手、上げて。」


はあ?と言う顔をしながらも、彼は少し腕を上げた。

キャミだけになったけど、仕方ない。別に減るものでもないし。あたしは脱いだ服を縦にまとめ、彼の手に巻き付ける。


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