似ているからこそ、相容れない。
「っ……」体の軋む音にぽたぽたと垂れる血。それでもミチルは倒れない。


こつ、こつ…足音の近づく音が聞こえ、止まったかと思えば不意に呼吸気管を絞められる苦痛。


痛みは感じにくいけれど、されどやっぱり苦しいもんは苦しいんだ。


イヴの片手で首をぎりぎりと絞められるミチルの表情には、やはり生気の宿った光がある。


もうとっくに死んでいるはずなのに、嗚呼何故彼女はこんなにも生きているフリをしているんだ。



「………なんで、」


「っ、あ……?」


「なんで君はそうやって楽になろうとしないの?ボクに壊されて、なんで立ち上がろうとするの?

君はホントに、死んでるの?滑稽だって言うのにさ。



―――ああ、そっか」



首を掴んだままミチルの体を閉まっている窓に打ち付け、イヴはぽつりと呟く。



「これが、ボクと君の違いなのか」



――『短剣でぐさりと一突き。それで全てが清算できる。楽になれる――― 

それをわかっていながら、このうんざりする人生の旅を、重荷を担ぎ、不平たらたら、汗みずくになってまで続けようとするのは、

ひとえに死の後に来る物が
恐ろしいからだ。』



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