似ているからこそ、相容れない。
何が起こったのかと、考えるよりも先に伸びてくる手。


そこでようやっと自分が仰向けに寝ていたことを悟るイヴの胸ぐらを掴んで引き寄せるミチル。


その睨む目には、微かな涙。



「何が、何が滑稽って言うのさ。

立ち上がって何が悪い。這い上がって何が悪い。格好悪くてもいい。自分の恥なんて、とうの昔に捨てたっつの。

アタシはピエロ。滑稽なピエロ。涙なんか許されない。滑稽なゾンビさ。

だけど、だけどなぁっ…


そうも自分の思い通りにいかないからって、相手が壊れないからって、

そんなことで自分を嘆くな!


一番滑稽で可哀想なのは、
あんただよ、『破壊』のイヴ」



もう1つ、分かったことがある。


嗚呼、この子はボクの狂った思考に対して哀れみの涙を流しているんじゃない。


自分と"似ている"からこそ、どうしようもない自分を憎んで、泣いてるんだ。


それは遠回しに、されど直球に。

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