【完】隣の先輩。
携帯の着信音が流れる。
大好きなバンドの、ラブソング。
ボーカルの声が、心に染みた。
足を止めて、番号を見る。
小林先輩からだった。
息を整えて、電話に出る。
「もしもし…先輩?」
『彩乃?よかった。声聞けて。今、ホテルの部屋戻ってきたところでな、彩乃に電話しようと思って。』
ああ、バカだ。あたし。
こんなに優しく、包み込むような暖かさを、先輩はずっとくれていたのに。
すぐ不安になる。そんなバカなことを、あたしは良くできたよ。
「せ、んぱい…!」
『彩乃…?泣いてんのか?どうした?』
「ううん、違うの。修学旅行、楽しんできてね。」
本当にあたしは、大馬鹿野郎だ。