strawberry tea
『ご指名は?』
爽やかな笑顔の店員(役)の男子。
『この人は守谷君で!!』
柚がにこやかに言う。
「ちょっ…柚ってば!」
『すみませんが、少々お待ち頂けますか?』
爽やか店員が言った。
「『え??』」
あたしと柚の声がかぶった。
『今守谷の方はちょっと人気凄くて…』
…………ズキン
分かっていた事だ。
思っていた事だ。
けど、実際はこんなに苦しいんだね…
『冬嘉?大丈夫?』
あたしの顔を覗き込んで言う柚。
「大丈夫だよ…」
そう言うと柚は不安げな顔をしたが、それ以上、あたしに何も聞いてこなかった。
『お待たせしました、守谷の所までご案内します。』
先程の爽やか店員が現れ、あたしを誘導する。
柚は「やっぱり外で待ってる」と言って、1Eから出て行った。
ドキン……ドキン……
何でこんなに緊張してるのかな?
あたしは履き慣れないヒールをカツカツと鳴らしながら、歩いた。
………………ドキン
あたしの目に映る、大好きな人………。