strawberry tea
真っ黒なスーツに、胸元に映えるシルバーのチェーン。
同じく黒いネクタイが緩く巻かれている。
あの茶髪とピアスがキラキラと照明に照らされ、強い光を放っている。
格好良い…
あたしの胸はドクンドクンと高鳴る。
…しかし…
蓮の両隣には、他校からだろうか…
私服を着た、あたしと同じくらいの女の子達が、蓮と楽しく話している。
女の子達は顔を火照らせ蓮を見つめながら話す。
蓮は、ニッコリと笑って相槌をうつ。
………っ。
そんな光景を見て、あたしの胸はきゅうっと締め付けられた。
ドクドクと脈打っていた心臓も、今は寂しい気持ちで一杯。
……仕方が無いんだよ?
だって…ホスト役なんだから、接客しなきゃ…
あたしだって…接客したでしょ?
自分に強くそう言い聞かせる。
不安。嫉妬。
仕方が無い。
仕方が無い。
あたしはギュッと目を瞑った。
…こんな気持ちになるあたしが可笑しいんだ…
目をゆっくり開くと、女の子達は「もう行かなきゃ」と言って、名残惜しそうに帰って行った。
『じゃあね、また来てね。』
蓮が女の子達に笑顔でそう言うと、女の子達は興奮しながら出て行った。
…………っ。
「………蓮…」