strawberry tea
……ダメだ、もう俺…
ゆっくりと冬嘉の顔に俺の顔を近づける。
観念したのか、少し動きが治まる冬嘉。
顔は真っ赤なままだけど。
やべ……
……止まんないかも。
――その時だった。
ガラガラッ!!!!!!
勢い良く開いたふすま。
俺達はビクッと体を震わせ、ふすまの方を見た。
…そこに居たのは…
『こんにちはー!!!』
………っはぁ?
な、何で?
俺は自分の目を疑った。
夢かとも本気で思った。
…しかし、目の前にいる奴は、紛れも無く俺の知っている人物。
冬嘉は誰!?といった感じで、赤い顔もすっかり普通に戻った。
「…お、い…何で…」
俺が戸惑いながら、奴にそう尋ねる。
すると奴はにっこりと笑った。
『どう?似合う?
着物。』
…奴が着ているのは、ここの宿の着物。
短い茶髪を盛り、目鼻立ちがはっきりした顔。
………嘘だろ?
冬嘉は不思議そうに、俺と奴の顔を交互に見ていた。