strawberry tea
「何で此処に居んの?」
俺は奴に尋ねた。
『あたしのお母さん、ここの女将さんなの。
それであたし、帰国してお金無いから暫く働いてる訳。』
…そういや、コイツのお袋…旅館で働いてるって…
『……あの~…』
小さな声でおずおずと入ってきた冬嘉。
『どちら様で…?』
冬嘉は不思議そうに、奴を見つめる。
奴は、冬嘉を暫くじっと見ると、華やいだ表情になった。
『可愛い~!!
もしかして蓮の彼女!?』
奴は驚いたように言う。
「そうだけど。」
『うわ~!!
可愛い子だねぇ~!!』
…おいおい。
冬嘉戸惑ってんじゃねぇかよ。
『あ、自己紹介遅れました~』
奴はその場にゆっくりと正座した。
『安藤 梢(アンドウ コズエ)です♪
ちなみに年は16歳♪』
『っえ!?16歳で働いてるんですか!?』
驚く冬嘉。
『あはは♪
あたしのお母さんが此処の女将だから、ちょっとしたバイト。』
冬嘉は感心したような目で梢を見つめた。
『んで、蓮の幼馴染♪
あたしと蓮は、保育園、小学校、中学2年まで同じだったの。
でも中2の終わり頃に、あたしのお父さんが仕事の都合で転勤になっちゃって…
あたしはアメリカに飛んだ訳なんだけど…
去年戻ってきたの!!
それであたしってばお金全然無くて…
…で、此処でバイトしてる訳です!!』
『そうなんですか…』
去年戻ってきたのかよ…