strawberry tea



『…そっか』


ポツリと呟いた蓮。



何が゛そっか゛なの…?






゛ふざけんなよ゛

そう言ってくれないの?




そんな事を期待してるあたしって自惚れてる?







『じゃあ何で冬嘉はコイツの事拒まなかった?』





………ッ



先輩が離したら諦めるって…



…けど、そんなの言い訳だ。


あたしには蓮が居るというのに。





諦めてもらうからって…抱きしめられたまま。

拒否もしないで。






…あたし…蓮にひどい事した…








『分かったよ』



イライラしたようにそう言い放った蓮は、資料室を出て行った。




…………え?





頭が真っ白になる、っていうのはこの事だったんだ。





あの時みたいだ…



蓮が、あたしの事を3人組から助けてくれた時。


蓮は、あたしが危ない目にあってしまうだろう、ってあたしの事考えて身を引いた。







…それなのに。





今は…あたしの事、嫌いになっちゃったから離れた…?









「っヒッ…ク」




違う涙が溢れる。


こんなんじゃ、あの時と同じ…

同じだよ。




あたしは駆け出した。




背後から、三宅先輩があたしを呼ぶ声が聞こえたけど、構わず走った。







…蓮…ごめんね…







…けど、蓮はもう居なかった。





「…試合…」



試合に行ったんだ。





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