strawberry tea
涙の隙。
**冬嘉side**
蓮が入っていった教室のドアが静かにしまり、あたしにまた静寂がやってきた。
………どうして??
゛俺の事迷惑なんだよな゛
そんな言葉、蓮らしくないよ。
蓮なら強引にあたしを引っ張るじゃない。
蓮ならあたしの事引き込ませるじゃない。
蓮ならあたしの事……
さっきとは違う涙が、何故か流れた。
先ほどの恐怖、安心ではなく、悲しみの思いでいっぱいで。
蓮…蓮…蓮…ッ
気付いたら、頭の中で蓮の名前を連呼していた。
「…ッ」
あたしは凄く外に出たい気持ちにかられ、屋上へと走った。
…何故屋上に来たんだろう?
自分でも分かんないけど、外に出たかった。
屋上は誰もいなくて…
ただ強い風だけがビュンビュンと吹いている。
あたしは景色を眺めていた。
でも頭の中は蓮の事でいっぱい。
授業をさぼったのはこれで二回目。
蓮に無理やり連れられて、デートとか言って公園まで来たんだっけ。
「…蓮…ッ…」
涙が止まらなかった。
風があたしの髪を揺らして、頬に流れた雫を乾かす。
……キィッ
ドアの開く音が背後から聞こえた。