Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「大丈夫、大丈夫!」

今度は周平が、私の背中をバシッと叩く。


「美波ちゃんには、いい相手がみつかるよ。」

「なにそれ。」

「俺なりの激励。」

「やだあ!」

私は、無理に笑顔を作った。

「嫌とはなんだ!人がせっかく励ましてんのに!」

「はいはい。ありがとう。」

一通りふざけ終わると、周平は席を立った。


「じゃあ、そろそろ、俺行くわ。愛美が待ってるからさ。」

そう言って周平は、コートを羽織った。

「うん。ありがとうね、ミルクティー。」

「こちらこそ。結婚の話、できてよかった。」

私は心とは裏腹に、作り笑いを浮かべる。


「じゃ!お疲れ。」

「お疲れ様。」

周平の背中を見送るのも、これで最後だ。

「あっ、そうそう。」

帰りがけに、周平は身体半分だけ、振り返った。

「さっきの、いい相手が見つかるって言ったこと。」

「ん?」

「ウソじゃない。本当にそう思うよ。」
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