Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「あの…どうされました?」

もう!男なら思い切って、近づいて来てよ!!

「あのさ…」

「はい。」

彼はなんだか言い辛そうに、眉の辺りをポリポリと掻き始めた。


あら 照れてるの?

ふいに人差し指で、クイクイと小さく呼ばれる。

うひゃあ!

なんだか恋人みたい!!

口から心臓が飛び出しそうな勢いで、彼の近くに顔を寄せた


「お姉ちゃん、鼻の上、テカッてるよ。」

すかさずレジの側面にある、銀色の金属の部分を見る。

よく反射するから、普段、私達が鏡代わりに使っている部分だ。


そして、顔面蒼白。

急いで油満載の顔を手で覆って、後ずさりをする。

「…ハハッ、ハハハハ…」

もう、恥ずかしい!!

消えちゃいたい!!

でも隠れる場所もない。


パニックになりながら、カウンターを見ると、もう彼はいなかった

「どうしたの?映梨子?」

「ん?うん……」

「何か言われたの?」
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