Chain~この想いは誰かに繋がっている~
心配する美希に、私は彼に言われた事を伝えた。


「はあっ!?なに、そのデリカシーの無さ!気づいても放っておいて!って感じじゃん。」

やっぱり美希の言う通り、ちょっと癖のある人だったのかな。

私は美希に気づかれないように、小さくため息をついた。


次の週のバイトの日。

私は密かにドキドキしていた。

あれから、長時間メイクしてもテカらない化粧下地に変えたし、ファンデーションも崩れにくいものに変えた。

これで準備万端だと思う。


「映梨子。ほら、来たよ!」

美希の掛け声に、慌ててカウンターのレジの前に立つ。

「大人一枚。」

待ってましたとばかりに、すっかりボタンの場所まで覚えてしまった真ん中の席。

「はい。中央のお席ですね。」

顔を上げた彼は、私の顔を覚えていたのか、軽くお辞儀をした。

それに満面の笑顔で、答える私。

ねえ、化粧品変えたのわかるかな。
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