Chain~この想いは誰かに繋がっている~
『あれ?ファンデーション、変えた?』

ああ、また妄想が止まらない

『はい。わかりました?』

『ああ。わかるよ。綺麗になったし。』

キャー!!

しっかりしろ!私!!


「空いてる?そこの席。」

「はい!空いてます。」

おっと!やばい!

自分の世界に、逃避するところだった。

そして私は、作戦を実行する。

思い切って、彼の傍まで近づいた。


「と言うより、空けておきました。」

「ハハハっ!」

あれ?笑ってくれた?

作戦成功?

次の瞬間、今度は彼が私の傍に近づいて来た。


「君、なんて名前?」

「伊勢です。」

思わぬ幸運に、無意識で胸のバッジを見せていた。

「伊勢、何ちゃんって言うの?」

えっ!?

そ、それは…

私の下の名前を要求しているの!?

どうしよう、どうしよう!

こんなチャンス、もう絶対にない!!

私は周りに美希がいない事を、確認した。
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