Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「映梨子です。」

「映梨子ちゃんね。」

ああ、嬉し過ぎる!!

彼が私の名前を呼んでくれるなんて。


そんな時、彼から素朴な疑問。

「映梨子ちゃんは、俺の名前、知りたいと思う?」


オレノ ナマエ シリタイ ト オモウ?


そ、そ、それは!!

どういう意味!?どういう意味!?どういう意味???

「ごめんね。変なこと聞いて。」

なんだ ただからかっただけ?

「いえ……」

「チケット、取れた?」

あっ、そうだった。

「は、はい。」

私は、ど真ん中の席のチケットを、彼に渡した。


「ありがとう。来週も頼むよ。」

さり気無い笑顔を見せて、彼は行ってしまう。

「あっ、あの……お客様!」

大きな声で呼んでみたけれど、聞こえなかったみたい。


なんで?

あんな意味ありげな質問しておいて、その後に、何でもなかったように消えてしまうなんて。

本当は……

名前、教えて欲しかったな。
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