Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「いらっしゃい、夏目さん。」

「親方……」

気づけば知らない間に、行きつけの店の目の前に立っていた。


「どうぞ。」

誘われて入ると、店の中は誰もいなかった。

「……私、一人?」

「そうですよ。今日は月曜日ですからね。」

そう言って親方は、温かいおしぼりを出してくれた。

「生でいいですか?」

「はい。」

親方がビールを注いでくれている間に、カウンターのど真ん中の席に、ストンッと座る。


「はい!ビールね!!」

ゴトンと置かれたジョッキ。

泡がフワフワしている。


そう言えば、一緒に飲みにくると、周平。

口の周りに、よくビールの泡付けてたっけ。


思い出して、ボロッと涙がこぼれた。

「夏目さん?」

慌てた親方が、もう一枚おしぼりを出す。


「親方……」

「はい?」

「私の、好きな人……結婚するんだって。」

親方は、小さな声でえっ!と驚いた。
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