Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「相手は、ウチの会社の受付の子なの。」

俯いた親方。

こんな話、嫌だよね。

いくら常連の客だからって。


「……で?夏目さんは、相手に気持ち伝えたんですか?」

私は首を横に振った。

しばらく無言が続いた後、親方は急に、カウンターを飛び出して、表の暖簾を店の中にしまい込んだ。

「親方?」

「今日はもう店閉めましたんで。他に、客来ないですから。」

って、まだ店開けて、30分も経っていないのに?

「だから我慢しないで、思う存分飲み食いしてください。俺のおごりです。」

そして、親方はまたカウンターの中に入ると、ビールを注いでくれた。
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