Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「親方……」

「あっ、なにかつまみ、出しますね。待っててください。」

親方は冷蔵庫の中を、ゴソゴソと探し始めた。

「あっ、あった。ありましたよ、夏目さんの好きなイカの塩辛。」

私の好きな“親方お手製”イカの塩辛を、嬉しそうに見せてくれた時、私の顔はと言うと、涙でもうグチャグチャになっていた。


「親方、私、私ねっ……」

拭いても拭いても、涙が止まらない。

「どこかで、周平も、私のこと好きなんじゃないかって……そう思ってたの。」

周平は、時々私のことを、優しい瞳で見つめてくれた。

周りの女の子には、そんなことしないのに、お菓子くれたり、落ち込んでると、必ず励ましてくれたり。


そうだよ。

周平の『好きだったよ。』発言は、ウソなんかじゃない。

私と周平は、確かに……



好き同士だった。

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