Chain~この想いは誰かに繋がっている~
私には、好きな人がいる。

同僚で、気のおけない男友達。

そんな微妙な関係。


「なあ、夏目。」

「ん?」

「たまには、一緒に飲みに行かないか?」


そんな周平に、飲みに誘われたのは、一体いつぶりだろうか。

ああ、そうだ。

たぶん、私の昇進祝い以来だ。


「うん、行きたいね。いつ行く?」

私は期待しながら、周平に尋ねた。

「そうだな……今週は?」

「あっ…ごめん。ちょっと仕事で時間取れなさそう。来週は?」

「来週は……俺、海外に出張なんだよ。」

「そっか……」


期待しても、お互いに責任のある身で、なかなか一緒の時間は取れない。

もっと、一緒にいたいのに。


「じゃあ、仕事一段落したら、教えて。」

「…うん。」

そう言って、名残惜しそうに背中を向ける周平。

それをもどかしく見つめる私。

いつもそう。

これを今まで私は、何度繰り返してきたんだろう。

< 2 / 125 >

この作品をシェア

pagetop