Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「はい。」

その上に置いた100円玉、2枚。

なぜかその100円玉だけ、光って見える。


「じゃあまたね、親方。」

「気をつけて。」

「あーい。」

扉を閉める時に、一瞬こちらを向く彼女。

行きつけの飲み屋の店主にでさえ、そんな気使いできる人なのに。

どうして、振り向いてやらないんだよ!!


怒りに任せながら、グラスを洗う俺は、相当夏目さんのことを好きらしい。

「はあ……」


見守るだけ。

彼女の恋を応援する。

好きだと気付かれないようにする。


30にもなって、そんな中学生のガキみたいな恋をするなんて、思ってもみなかった。
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