Chain~この想いは誰かに繋がっている~
親方におごってもらう理由なんてないわ。だって、客として来てるんだし。」


うう~。 ごもっとも。

そんなはっきり言うとこ、まっ、夏目さんらしいんだけどさ


「今日払うはずだったお金で、明日も来て下さいよ。」

「明日も?」

あれ?やばかったかな。

いつもは、連日で来る事だってあったのに。


「あっ……うん。じゃあ、また明日来ます。」

夏目さんは、そう返事するも、社交辞令っぽい感じだった。

「ごちそうさまでした。」

席を立つ夏目さんに、少し寂しさを覚える。

扉を開けて、一度も振り返らずに、夏目さんが行ってしまう。


いや、決めたんだ。

もう、夏目さんには遠慮しないって。


「夏目さん。」

「はい?」

首だけ後ろに向けた夏目さんは、俺に警戒心バリバリ。


それでも、言わなきゃ始まらない。

「途中まで、一緒に帰りませんか?」
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