Chain~この想いは誰かに繋がっている~
重苦しい空気。

人の返事を待つって、こんなに時間が長く感じるんだっけ?

そして、夏目さんは店の扉に、手をかけた。


ああ、やっぱりダメだったか。

今日の今日だもんな。


だが、扉が閉まった後も、夏目さんは店の中にいた。

「ええ、一緒に帰りましょう。私、ここで待ってます。」

俺は、しばらく放心状態。


「親方?」

「ああ、えっと……15分。そう!15分だけ待ってください。」

慌てて、店のビールサーバーを片づけ始める。

機械の中に入っているビールを抜いて、簡単に水で洗うんだけど、その間も半信半疑。


もしかして、この間に、夏目さん、帰っちゃったりして。


俺はそっと、後ろを振り返ってみる。

いる。

やっぱり、夏目さん いる。

ウソだろう?

案外、言ってみるもんだな。
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