Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「いつかね……連れて来ますよ。」

私は果たせるかどうかわからない約束を、酔った勢いで、親方と交わすのだった。


そしてその次の日に限って、今日も残業だ。

昨日の夜は飲み過ぎて、頭が痛い。

でも締切が迫っているんだから、仕方ないか。


「お先します。」

「あっ、お疲れ様。」

先に帰る部下を見送り、一人カチャカチャとパソコンを叩く。

グラフ作成自体好きなんだけど、それを分析するって、結構面倒くさい。


「何なに?この商品、40代、50代は“好き”が8割。20代、30代は4割。ダメじゃん、これ。」

肝心のターゲットに、受け入れられていないという結果。

部長はこの商品、あまり乗り気じゃなかったから、もしかして廃番かな。

それとも今の時期は、クリスマス戦線が始まっているし、売上が鈍いから、もう少し残すのかな。

「うん。もしかしたら、孫に買う人もいるかも。」

グラフの脇に、そのコメントをさりげなく入れる。
< 4 / 125 >

この作品をシェア

pagetop